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記録:平野智子

「宮本研を読む!」の研修が始まった。初日ということで、川口部長からセミナーの主旨と2日間の研修の進め方、最終日の発表についての説明があり、それぞれの配役が発表された。

出演者の自己紹介のあと、いよいよリーディング。冒頭を読み、続いてディスカッション。大逆事件を想起するための仕掛けや、芝居が書かれた60年代の世相とのリンクが指摘される。具体的には、ト書きにある「天上から吊されたロープと先端の輪」は絞首刑にあった12人の象徴、政治的な歌を歌って歌本を配る演歌師は60年代当時の新宿フォークゲリラと重なっている。

話が盛り上がり、初日の読みは1幕2場で終了。劇作家&演出家が役を演じるというだけでも興味深いが、なかでもルパシカ(小山内薫)役の篠本賢一さんの熱演が光った。それに対して「自然という言葉をあんなに不自然に言う人をはじめて聞いた」という篠原久美子さんのコメントが秀逸だった。

19時からは、アナキズム研究者・栗原康氏によるトークイベント。

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日本の元祖アナーキストは一遍上人ということで、踊り念仏の話から。「既存の教え・正義に縛られるな」という考え方が「踊ることで自分の役割(職業)をぶち壊す」になったそうだ。

「水滸伝」の義賊の話を経て、次はモーセの「出エジプト記」について。大杉の民衆芸術論に入る前に、「民衆」の定義の確認。いわく、奴隷だったヘブライ人が支配のない場所を求めて逃げ出し、「民衆・民」が生まれた。

と、ここまでで45分が経過。で、駆け足で、大杉の話になるのだが、平たく言うと、ロマン・ロランの民衆芸術論を日常の中に落とし込んだのが大杉。正論や既存の価値観に従うのをやめようと。ブルジョワに従って工場で働くこと、夫に従って妻の役割を果たすこと、あらゆる社会で同じ構造になっているから、やりたくないことを放棄して立ち上がろうと呼びかけたそうだ。

その後の質疑応答も含めて、終始、栗原さん独特の喋りが展開された。あまりに生き生きした大杉栄像で、まるで劇画漫画の主人公を見ているようだった。