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記録:平野智子

本日は秋浜悟史WSの最終日。10時45分集合で、11時から詩森さんより配役の発表とリーディングのやり方について説明があった。前日に主なメインの配役と方法については発表があったので、この時間で細かい部分が整理された。


出演者全員、ステージの周りで待機、その場に出ている登場人物が舞台に上がる。座る順番は、下手から根子倉造・田貝谷松・勝子・ふさ・和野初男。ト書きはステージ下の上手前。長いので、読む人を交代しながら止めずに続ける形になり、入れ替わる場所を中心に場当たり開始。


13時、リーディング公演スタート。戯曲部の黒澤世莉さんから観客に向けてセミナー全体の説明。詩森さんにバトンタッチし、5日間のWSで何をやってきたかという話。


リーディングは本編(南部弁)のあと、抜粋シーンの標準語版。岩手弁ネイティブの詩森さん・田村さん(WS参加者)も加わって、同じ場面の南部弁版。それから、関西出身者による関西弁版。

聞こえ方がまるで違う。この戯曲が南部弁で書かれた意味と岩手の人ならではの思考回路で文脈が成り立っていることを再確認。


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その後、振り返り。

・通しで読むのが初日以来で、出演者の南部弁がものすごく上達した。

・はじめは方言にとらわれて内容が入ってこなかったが、中身について学んだ4日間があってこそ、話が豊かになった。

・借金が大変というシリアスな芝居に思っていたが、コントっぽい要素が多く、秋浜が新喜劇が好きだというのがちょっと分かるようになった。

・すごく岩手っぽい話。人間関係や谷松の性格がそう。

・南部弁の語尾の意識。自分に戻る。相手にぶつけない。きついことを言うけれど、言い方が違う。明日からも顔をつきあわせて行かなきゃならないからでは?

・自分の話だけど、他人事みたいに言う。

・「標準語は冷たい、南部弁はあったかい」という点については、東京生まれだと標準語が冷たいという意識はないから、幼少期をどこで過ごしたかが大いに影響する。

・標準語は正確性を求められる言葉だから、熱くなると伝わらない。

・方言に直すという作業は、外国語の翻訳と同じ。話せるだけでなく、コンテキストを理解していないとできない。


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今回のWSは、参加者の出身地域が多岐にわたったことで、より一層、秋浜戯曲のもつ地域性が浮き彫りになった。そして、実際に秋浜氏の教えを受けた参加者や娘さんから生の声を聞くことができ、戯曲の読解にとどまらず、作家の人柄や劇作以外の活動にも触れる形になった。実りある時間を共有できたことを、詩森さんや参加者の皆様に感謝したい。